作業療法士の年収

作業療法士(OT)の仕事をしたい人にとって気になるのはその給与や年収ではないでしょうか?

現在私はOTとして病院で働いていますが、OTの収入等は気にせずに、方向性を決めいました(高校生の時)。しかし医療職は全般的に職業に特化した形で専門教育を受けていきます。そのために、養成校を出た後に違う職業に就くことは極稀です。

養成校に入学してから、または就職活動してから後悔がないようにOTの仕事内容以外のことも調べておくことは有益だと思います。

ここでは日本作業療法士協会が出している資料と厚労省がだしている資料をもとに実際にOTとして働いている者からの意見も含めてお話をしたいと思います。

OTの平均給与

令和2年の賃金構造基本調査によるとOTの平均年収は418万円となっています。

日本の全世帯の年収中央値は437万円となっていることから、OTの年収はやや低いものになっています。

世代別の平均年収をみていくと400万円台を超えてくるのは30代となってからとなっており、ピークは50代後半で約560万となっています。

これはあくまでも平均年収であり、仕事の内容や職場、地域により変わると思います。

コメディカルの平均年収との違い

同じ医療職(コメディカル)の平均年収と比べてみると薬剤師561万、放射線技師502万、看護師482万、臨床検査技師461万となっています。

こうして医療職(コメディカル)で比べてみてもOTの年収は低いようです。

この要因として考えられるのはまずは資格自体が業務独占ではなく、名称独占であることかと思います。

業務独占とは薬剤師であれば薬の調剤などは薬剤師しかできませんし、放射線機器の取り扱いは臨床放射線技師しかできないといった、特的の業務に従事するためにはその資格が必要となります。

一方で名称独占は免許を持たない人は作業療法士や理学療法士を名乗ることができません。しかしリハビリ業務においては免許を持っていない人でも実施できるものになります(診療報酬上は規定されている)。

次に夜勤がないことも考えられます。その分生活のリズムは安定しているため、ワークライフバランスは保ちやすいかもしれません。

その他の要因としては開業が認められていないことや、全体の年齢層が若いこともあるかもしれません。少し古いデータですが、2015年のOTの年齢構成は21~30歳が全体の42%、31~40歳が39%となっています。

領域別の給与

OTが働く領域は意外と広く、医療施設はもちろんのこと介護保険領域(老人ホームなど)や福祉領域(就労支援施設など)、精神科領域、児童福祉領域、特別支援学校、最近では司法領域(刑務所など)でOTをされている方もいるようです。

基本給の平均給与が高い順番にみていくと、大学。学校教員(38.5万円)→児童福祉関連(29万円)→精神保険福祉関連(26.6万円)→介護保険領域(25.5万円)→障害者総合支援法領域(25.2万円)→医療施設(24.9万円)となっています。*日本作業療法士会協会誌からの引用

大学教員となれば高い給与がもらえるかもしれません。しかし大学教員になるためには、大学院を出て博士となり、その上で数が少ない大学教員の採用枠に入り、研究を重ね発表し助手→講師→准教授→教授とステップアップする必要があります。当たり前ですが簡単になれるものではありません。

OTが年収を上げる方法

1.年収の高い領域に転職する

同じOTでも領域により基本給や年収が異なります。年収を上げたい場合はます働いている領域を変えることも一つの手段と言えます。おかしらさんのブログに転職のノウハウが詳しく書かれています。https://money-rehabilitation.com/

2.一般企業へ転職する

一般企業へ転職する場合資格を活かして転職する場合と全く異なる分野への転職が考えられます。

資格を活かす場合はPT・OTであれば福祉機器の開発関連の会社やMR(医療情報担当者)への転職等があります。

STであれば音声関係の補聴器や音声代替手段の開発や営業などもあるかもしれません。

また最近ではリスキリングといった、学び直しについても話題になることが増えてきました。名著「LIFE SHIFT」でも人生100年時代では同じスキルで最後まで過ごすことは難しく、新しいスキルを学ぶ期間を設けて、学び直したスキルをもとにシフトしていくことが求められると書かれています。

学び直すのであれば需要の多いスキルを学ぶことが効率的に年収を上げる手段となります。

どの企業でも求められやすいのはIT系のスキルであり、プログラミングを学ぶことは転職に有利に働くようです。プログラミングを学ぶ時は独学も可能なようですが、効率的に学び仕事としていくためにオンライン講座で学ぶ人も増えています。

3.公務員として働く

区や市の職員においてOTの募集がかかることがあります。

ただコンスタントにあるわけではないことと応募に関しては年齢制限があることに注意が必要です。

また公立病院に就職すると公務員となるため、給与体系も公務員として扱われます。

公務員としてのOT職は人気があるため、ある程度の倍率があることを覚悟する必要があります。友人のPTが受けた試験は一つの採用枠に何十人と応募があり、かなりの倍率でその友人は落ちてしまいました。

また公務員となって区役所や市役所に努めた場合病院勤務時代とは全く異なる仕事をする場合もあるのでOTの仕事が好きという人はきちんと業務内容を調べた上で応募すると良い思います。

最後に

OTの年収について触れてきましたが、実際のところ仕事は年収だけではないと思っています。

実際OTとしての仕事内容は充実していますし、やりがいもあります。また仕事と家庭のバランス、趣味とのバランスもとりやすい職種だと思います。

働いているスタッフも基本的に優しい人が多く人間関係で悩むこともすくないのではないでしょうか。産休や育休も取りやすくなってきていますし、夜勤が無いので生活のリズムが崩れないことも利点だと思います。

OTに興味があるけど年収が…と思う場合はそれ以外の側面にも視野を広げていくことをおすすめします。ちなみに実際私の大学の同期や仕事仲間において年収がネックで結婚できない、子供がもてないなどで悩んでいるOTはあまり見かけたことがありません。

OTは職場での出会いで結婚される方も多いでのお互い資格を持っている場合が多く、パワーカップル(夫婦それぞれが年収700万)とまではいきませんが、ある程度の世帯年収がある場合もあります。

これからOTを目指す方や若いOTにはいろいろな選択肢があるとお伝えしたいと思います。

与えられた選択肢ではなく自分で探し納得いくまで調べ、自分で自分の道を決める。その上で実際に行動していくことで後悔の無い選択ができると思います。それはOTの仕事であろうと、違う仕事であろう良いと思います。                                            

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