運動が脳に与える効果 

人間の脳は25歳をピークに萎縮していくそうです。当然のことですが、脳が萎縮すれば記憶力も集中力も低下します。最近体力や気力が衰えたと感じる方もいるのではないでしょうか。私もその一人です。40代に突入して体力の低下や記憶力の低下を感じています。

今回ご紹介するのは、そんな年代の方に向けたサプリにも薬にも頼らず自分の能力を爆上げする方法です。参考にしたのは「運動脳」 著者はアンデシュ・ハンセンさんですスウェーデンの精神科医の先生です。「スマホ脳」も書かれた脳の専門家のお話であり、生活習慣を見直すとても良い機会となりました。

本書では運動をするメリットが300ページ以上にわたり書かれています。

脳にとって効果があるのは脳トレでも薬でもなく運動をすることだそうです。

運動することの効果として

  • ストレスや不安の軽減
  • 食欲の調整
  • 記憶力の向上
  • 集中力の向上
  • 学力の向上
  • 創造性の向上

以上が期待できるようです。もちろん運動をすれば体力や筋力も向上すると思います。そして体力や筋力も脳機能と大きな関わりがあるようです。以下で運動によって得られるメリットを解説していきます。

ストレスや不安を軽減する

人はストレスを受けると副腎からコルチゾールというストレスホルモンを血中に放出します。これは人類が進化の過程で身につけてきた機能で、いわゆる「闘争か逃走か」の反応を引き起こします。コルチゾールの血中濃度が上がると脳も身体も警戒態勢に入り、口渇感や動悸が激しくなります。ストレスは正常範囲内であれば集中力を高めることや変化に対して敏感になるなど好ましいものですが、過剰になると集中をかき乱し、セルフコントロールが難しくなります。またストレスが持続的に続くと疲弊してしまいます。

運動をすることでコルチゾールに対する耐性が上がり、次回の運動後からはあまり上がらなくなります。またストレス反応のブレーキとなる海馬と前頭葉が強化され不安の引き金になる扁桃体(不安を感じる脳の部位)の活動が抑えられます。そして脳内の興奮を鎮めるGABAの作用が活発になることや、筋力がつくことでストレス物質を無害化するといった効果得られることが期待できます。以上のことからストレスに対して運動は効果があるといえるそうです。

食欲の調整

前述したコルチゾールは脂肪の燃焼を妨げる作用を持っています。コルチゾールの血中濃度が増えると腹部に脂肪が蓄積します。そして恐ろしいことに食欲が増し、高カロリーのものが食べたくなるそうです。確かにストレスの発散方法には甘いものを食べることや沢山好きな物を食べるといったことをあげる人も多くいます。そこで運動をすることで、コルチゾールの血中濃度を下げ蓄積された脂肪も減り、食欲も落ち着いてくるとのことです。

記憶力の向上

記憶力の低下の原因はなんでしょうか。答えは海馬の萎縮だそうです。海馬とは脳にある親指ほどの小さな部位であり、それが人が記憶するための入り口となります。海馬は記憶を符号化し脳に記憶をしまう準備をします。当然のことながら海馬が萎縮すれば記憶したことを脳の適切な部位にしまうことができず記憶力は低下します。また海馬には感情をコントロールする機能や自分の位置情報を適切に把握する機能があるようです。

以前流行った脳トレなど脳を使うことで脳機能を取り戻そうという試みがありました。もちろん脳も筋肉も使わなければ衰えていくでしょう。しかし脳トレの効果は限定的であり、私自身も任天堂DSや書籍を使って脳トレに挑戦しましたが大きな効果を得られた感じはしませんでした。

BDNFは新しいニューロンの成長と分化をサポートするタンパク質で、神経発生にとって最も重要な物質です。ニューロンとは脳の神経のことで、脳神経が生まれ、手をつなぎあうことでネットワークが構築されます。BDNFが神経発生、神経保護、神経再生、細胞生存、シナプス可塑性、新しい記憶の形成と保持を起こさせているそうです。また運動時のBDNFの出る量は海馬に多くみられるということが分かっています。それにより運動することで海馬が大きくなることが期待できるようです。海馬が大きくなることで記憶力が向上するというわけです。

運動にによる記憶力向上のメリットを得たい場合はストレッチなど心拍数が変わらない運動よりも心拍数が上がる運動をすと良いようです。また過剰な負荷をかける運動(トライアスロンなど)そのメリットを得ることができないと本書には書かれています。ではどんな運動が最適か。

推奨されている運動は週に3~4日程度早歩きをすることです。時間としては30分以上行うことが望ましいようです。ランニングを行うとよりその効果があるようですが、体力や足腰に不安がある人は早歩きが万人に行える運動としてよいのではないでしょうか。

集中力を高める

運動をするとドーパ-ミン(報酬系の神経伝達物質)が多く放出され、注意力と報酬系のシステムがうまく調整されるようになります。このドーパミンが増えることは物事に集中するためには重要な物質であり、ドーパミンが出る行っている活動が続ける意味があるものと脳が判断します。

またドーパミンは前頭葉(脳の司令塔)にも影響を与えることが分かっています。運動をすることでドーパミンが放出され脳が行っている活動は意味があると認識され、前頭葉の活動が活発ぬなることで更に集中して取り組むことができるようになるようです。

集中力を高めるにはやや負荷が高い運動で、活動時間も長い方がこの効果を得られやすいとのこと。なのでウォーキングよりはランニングを行う方が集中力の向上には良いそうです。少し心拍数が上がる程度で、30分以上続けると効果が得やすいようです。心拍数の目安は最大心拍数(220-年齢)の70~75%、40代であれば130~140bpm/minになります。ただ人により持病もあるので、負荷量は各々で調整する必要があります。運動は朝行うことが推奨されています。

学力の向上

アメリカの研究の結果、子供の体力と学力には関連がみられていて、体力のある子供は学力においても優れていることが判明したとのことです。

運動をすると大人と同じように記憶に関連する海馬が大きくなり、集中力も上がるため算数や読解力が向上するとのことでした。またフィンランドの研究では毎日たくさん歩いた子は、あまり歩かない子に比べてストレスを感じにくく精神的に安定しているといった結果がでているそうです。

このような恩恵を受けるためには子供に何をさせればよいのか?親ならみんな気になりますね。本書では心拍数が上がるような活動であれば何でもよいとのことでした。スポーツをする、鬼ごっこをする、ただ走るといった活動でもよいそうです。ポイントは心拍数があがるような活動が望ましく、可能であれば30分活動を続けると良いそうです。しかしたった4分でも体を動かすと集中しやすくなり、読解力が向上するといった結果もでているそうなので、とにかく子供にとって体を動かす活動はとても良いことだそうです。我が家でも意識して運動していこうと思います。

創造力の向上

本書では創造性を図るテストにおいて動かずに受けた場合よりも歩きながら受けた場合の方がより成績が良かったという研究結果が掲載されていました。運動をすることで、アイディアを思いつきやすくなり、それを活かす力が高まるそうです。研究者や作家さんもランニングをする人が多いと読んだことがあります。

創造性を高めるにはウォーキングよりもランニングが推奨されています。また可能であれば20~30分程度走ることが推奨されています。ただし過負荷の運動は筋肉に血流が集中することでその効果が得づらいようです。

まとめ

運動することで以上のような恩恵がうけられるそうです。つらい運動をたくさんする必要がないのは私のような中年にとっては嬉しいお話です。ポイントは少し心拍数が上がるようなペースのランニングが早歩きを20分以上行うことだと思います

本書で学んだことをまずは実践してみようと思います。子供たちと体を使った遊びを行い、スキマ時間で早歩きしたり、階段を使ったりただこれだけでも良さそうです。そしてこれなら続けられそうです。自分のためそして子供たちのために日々意識していこうと思います。

本書は運動の大切さを気付かさせてくれる良書でした。お時間があればぜひ手に取って一読されることをおすすめします。

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